形見分 (かたみわけ)
「形見分け(かたみわけ)」とは、故人が遺した愛用品や日用品などを、親族や友人に分け与える日本の風習です。故人の生前の思い出が宿る品々を遺族や関係者に譲り、その品を通して故人を偲ぶことが目的です。形見分けは、葬儀が終わった後、四十九日法要のタイミングで行われることが多く、故人の品々を一人ひとりに合った形で手渡しすることで、悲しみの中にも故人との心のつながりを感じさせます。
形見分けとして分けられる品は、アクセサリーや衣服、愛用の茶碗や筆記具など、故人の人柄や趣味が伝わるものが選ばれることが一般的です。ただし、高価すぎるものや不動産、資産に関わるものは形見分けには含まれず、遺産分割として正式な相続手続きを取る必要があります。
形見分けは遺族にとって故人の遺品を整理し、心の整理をするきっかけにもなります。品物を譲り受けた人々もまた、その品を大切にすることで故人の存在を近くに感じ、心の支えとすることができます。このように、形見分けは故人への感謝と敬意を込めて行われ、残された人々にとって心の癒しと慰めとなる大切な儀式です。