他界 (たかい)
他界(たかい)は、人が死亡した時、その魂が行くとされる場所。あるいは、亡くなった祖先が住まうとされる場所。地域によって山上他界、海上他界と呼ばれるほか、地中他界という考え方もある。これらの他界の種類によって、当然葬儀の制度「葬制」に特徴が表れている(海上他界での水葬、地中他界のなごりの土葬など)。
人は死んだら他の世界に行くという思想は多くの民族に見られる。黄泉、極楽浄土、天国(あるいは地獄)、死者の国などその呼び方は地域や宗教によって多くの種類がある。ヨーロッパの神話、伝説でも冥界、冥府、黄泉の国という考え方は古くからあり、ギリシア神話でもゼウスとその兄弟たちが巨人族との戦いで勝利した後、その支配する世界は、天上界、海、冥府と3分され、冥府はハデスが支配することになった。これは、地下の世界と考えられている。北欧神話でも、ヴァルハラとして登場する。これは戦場で名誉ある死を遂げたものが招かれる場所である。これらに共通しているのは、場所を具体的な「国」として認識している点で、自分の属する「国」と死者が属される「国」に境界線をはっきりと引いている。このような類似性を説明するものとして、ユング心理学で人類は深層心理で集合的無意識を共有しており、共通した元型として表出されているとする説がある。 なお、現代の日本語では、人が亡くなった事を丁寧に言う表現として、他界へ行ったという意味で「他界(する)」という。
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