卒塔婆(そとば)
卒塔婆(そとば)は、仏教において故人の冥福を祈るために供えられる木製の塔型の板で、特に葬儀や法要において使用される重要な仏具です。その名前は、インドの仏塔(ストゥーパ)を模したもので、仏教の教えを象徴するものとして、故人の魂が安らかに成仏できるよう祈りを込めて立てられます。
卒塔婆は、通常、木製の板に仏名や経文、故人の名前が書かれ、塔の形を模した細長い板状になります。塔の形は仏教の教義における仏の安住の場を象徴し、仏教徒にとっては魂が安住し、浄土に生まれ変わるための祈りが込められています。法要の際、卒塔婆は仏壇や墓前に供えられ、僧侶が読経をしながら、故人の冥福を祈る儀式が行われます。
卒塔婆には、故人が死後に早く成仏できるようにという願いが込められており、仏教では「卒塔婆を立てることによって、故人の罪が浄化され、成仏できる」とされています。特に、初七日、四十九日、一周忌などの法要で卒塔婆を供えることが一般的です。
また、卒塔婆は単に供養のためだけでなく、故人との絆を深めるための重要な意味もあります。遺族にとっては、卒塔婆を供えることが故人を思い出し、心の中でお別れを告げる時間ともなります。
現代においても、卒塔婆は葬儀や法要の中で大切な役割を果たし、仏教徒の心を支える存在です。その形状や役割は、仏教の精神性と深い繋がりを持ち続けており、故人を祀るための大切な儀式の一環として、多くの地域で行われています。