納棺(のうかん)
納棺(のうかん)は、故人を棺に納める儀式で、葬儀において重要な役割を果たします。納棺の際には、故人の体を清め、死装束(しにしょうぞく)と呼ばれる特別な衣装に着替えさせた上で棺に安置します。死装束は白装束が一般的であり、旅立ちの装いとされ、故人があの世に向かうための装備と見なされています。
納棺の儀式には、故人との最期の別れを惜しむ場として、家族や親しい人々が参加し、故人に思いを込めた品物を棺に入れることもあります。遺族が故人に寄せる思いを込め、愛用していた物や手紙を入れることで、故人が安らかに旅立てるよう祈りが捧げられます。ただし、火葬場の規則により燃えにくいものや有害な物は納めることができない場合もあります。
納棺は、単なる物理的な準備ではなく、遺族が故人を悼み、哀悼の意を表しつつ、心の整理をする時間でもあります。納棺師と呼ばれる専門職が遺体の清めや納棺を担当することが多く、彼らは遺族の気持ちに寄り添い、慎重かつ丁寧に儀式を進めます。
納棺を通じて、遺族は故人への感謝の気持ちを込め、穏やかな別れを迎えることができます。納棺の儀式は、故人が安らかに成仏し、新たな旅路を平穏に進めるようにとの願いを込めた、日本独自の弔い文化です。