枕飾り(まくらかざり)
枕飾り(まくらかざり)は、故人が亡くなった後、最初に行う供養の一環として、遺体の枕元に供える飾り物や供物のことを指します。主に仏教の葬儀において行われる習慣で、故人の安らかな旅立ちを祈り、死後の世界へ無事に導かれるよう願いを込めて飾られます。枕飾りは、故人が亡くなった直後に行われ、枕元に供物や花、灯火などを飾ることで、霊が安らかに過ごせるように配慮します。
枕飾りの内容は、地域や宗派、家庭の習慣によって異なりますが、一般的には以下のような物が供えられます。まず、故人の好物や新鮮な食べ物が置かれることが多く、これには生前の故人を偲び、その霊に捧げる意味が込められています。また、枕元に供えられる花やお香も重要な役割を果たします。特に、花は「花祭り」とも呼ばれ、故人の霊を引き立て、浄化する意味があります。
さらに、枕飾りには灯明も欠かせません。灯明は霊を照らし、暗闇の中で故人が迷わないようにという願いを込めたもので、仏教の儀式においては、清浄な光を象徴するものとされています。燭台や灯篭に灯された火は、故人を照らし、その霊を見守る存在となります。
枕飾りは、遺族が故人を尊重し、霊に対する敬意を表す大切な儀式であり、また、家族や親族が集まり、故人の冥福を祈る時間でもあります。このように、枕飾りを通じて、遺族は故人との別れをしっかりと受け入れ、心を整理し、次の儀式へと進む準備を整えます。
現代では、枕飾りを行う家庭は減少しているかもしれませんが、伝統的な供養の一部として今も行われている地域や家庭もあります。