経帷子(きょうかたびら)
経帷子(きょうかたびら)とは、故人が亡くなった際に葬儀で着せる、仏教に基づいた儀式用の衣服のことです。この衣服は、仏教の教えに従い、死後の世界への旅立ちを助けるために用意されます。経帷子は、仏教的な供養の一環として、故人の霊を安らかに送り出すために着せられる特別な衣服であり、遺族の心情にも深く関わっています。
経帷子の由来には、仏教の経典に記されている「経」と「帷子」の二つの意味があります。「経」は仏教の経典を示し、故人が仏教の教えを守りながら成仏することを願う意味が込められています。一方、「帷子」は、衣服を意味し、仏教の儀式で死者に着せる衣服として、葬儀の際に重要な役割を果たします。
経帷子は、一般的に白い布で作られており、その形状や素材は地域や宗派によって異なることがあります。白は仏教において「清浄」を象徴し、死後の浄化を意味するため、故人にふさわしい色とされています。また、経帷子には、特別な装飾が施されることもありますが、基本的には簡素で清らかなデザインが特徴です。服装の中には、腰布や帯を締めることが一般的で、故人の尊厳を保ちながら、仏教的な儀式を重んじます。
経帷子は、葬儀において故人の霊を清め、浄化の意味を込めて着せられるものであり、また死後の世界で故人が苦しみから解放され、仏の世界へ導かれることを願う意図も込められています。日本の多くの宗派で、葬儀の際に使用される重要な儀式用具の一つとして位置づけられています。
葬儀後、経帷子は故人の遺体とともに火葬されることが一般的で、その後は遺族が心を込めて供養を行います。経帷子の準備は、遺族の心情や、仏教の教えに基づいて慎重に行われます。このように、経帷子は単なる衣服以上の意味を持ち、故人の死後の旅立ちを支える重要な役割を果たしています。