打敷 (うちしき)
「打敷(うちしき)」は、仏壇や仏具の前に敷かれる布で、仏事において神聖な場を整えるために用いられる装飾品です。打敷は主に仏壇の中央、位牌や仏像の下に敷かれ、故人や仏への敬意を表し、場を荘厳にする役割を果たします。歴史的には、打敷の原型は平安時代にさかのぼり、当時は神聖な場所に美しい布を敷いて場を整える習慣があったとされます。
打敷には、季節や行事に合わせた色や柄があり、一般的には仏事の内容や時期に応じて使い分けられます。たとえば、通常は落ち着いた色合いの布が使われますが、春と秋の彼岸やお盆、年忌法要などにはより華やかな打敷が選ばれることもあります。色は白や紫、金色が好まれ、柄には蓮華や菊、桜など、仏教に関連する伝統的な意匠が多く見られます。これらの柄には、仏教の教えや祈り、故人の成仏を願う意味が込められています。
打敷は家庭の仏壇だけでなく、寺院の法要や葬儀などでも用いられ、仏教の世界では欠かせない存在です。仏前を整え、場の空気を引き締めることで、参拝者の気持ちを清め、心静かに祈りを捧げるための環境を作り出しています。このように、打敷は仏教儀礼において視覚的な荘厳さをもたらし、故人や仏への敬意を象徴する重要な役割を担っています。