後飾り(あとかざり)
「後飾り」は、葬儀が終わった後に故人を偲び、祈りを捧げるために設けられる仮設の祭壇です。これは故人を見送った後の四十九日法要までの間、自宅などで設置され、遺族や親しい人々が故人への思いを整理し、ゆっくりと心の区切りをつけるための空間とされています。
一般的に、後飾りには遺骨や位牌、故人の遺影、また供花や果物、お菓子などの供物が飾られ、故人への追悼と祈りが捧げられます。祭壇の設置場所や飾りの内容は宗教や地域の習慣によって異なりますが、多くの場合、部屋の一角に簡素で落ち着いた飾り台や仏具を置いて、静かな空間を作るように心がけます。仏教においては、亡くなった方が成仏の道をたどるまでの期間として「中陰」と呼ばれる期間があり、後飾りはこの期間を共に過ごすための大切な場所となっています。
後飾りの期間中、遺族は毎日お線香を手向けたり、手を合わせたりしながら故人と心の対話を行います。また、故人の生前の思い出話を家族や友人たちと分かち合うことで、次第に心が癒され、悲しみを乗り越える力を養います。そして四十九日法要を迎え、仏壇への遺骨の納めや位牌の安置が行われることで後飾りは終了し、故人は正式に「仏」として家庭の中で祀られることとなります。このように、後飾りは、故人への思いを大切にしながら、残された人々が心の整理をするための大切な儀式とされています。